twlikesが有料購読型アプリになった理由

twlikesは、私が開発している、 iOS上でTwitterのいいねを整理したり、全文検索したりできる、いいね管理アプリです。

今まで、twlikesを無料アプリとして提供して来ました。

しかし、広告収入に支えられる無料アプリのままでは、今後もアプリを提供し続けることは難しいとの 判断に至ったため、有料化することに致しました。

この記事では、有料化に至った経緯や課金の形態として有料購読にした理由、また金額について どのように決めたのかについて書きます。

大きい開発コスト

twlikesは、いいねを管理するためのアプリです。言ってみれば、Twitterのいいねに特化した PocketPinboardの ようなアプリと言えます。

iPhone内で全てが完結するのでサーバ代はかかりませんが、データ管理のためのコードはサーバ側であろうと iOSアプリであろうと同じように必要です。

加えて、twlikesは、普段Twitterを使っているのと同じように、違和感なくtwlikesを使ってもらうために、 ほぼ一般的なTwitterクライアントと同様の機能が備わっています。

まとめると、データ管理のため、またTwitterクライアントと同じようなUIを実現するために、 相当な時間と労力をかけてきました。

少ない広告収入

当初気づいていなかった問題は、twlikesでは十分な広告収入を得られないということでした。 twlikesの一人当たりの1日の平均利用時間は約2分でした。また、毎日使うユーザ数(DAU: Daily Active Users) は約1,000人でした。 この利用状況で、得られた広告収入は1ヶ月約1万数千円でした。

アプリの利用状況について、iTunes ConnectのAppアナリティクス等で確認する限り、 アプリをインストールし、最新版に更新をしてくださっている人は1万人を超えているようですが、 アクティブなユーザの割合がとても少なく、また利用時間も短いのです。

これは後から考えてみると、アプリの性質として当然で、簡単にタグ付けできたり、 いざという時にいいねしたツイートを素早く探し出すことができるアプリなので、 利用時間が少なくて済む方が良いのです。

ですから、twlikesは利用時間が少なく広告収入を稼ぎづらいアプリと言えます。 これは一般的なTwitterクライアントやゲームアプリ等との大きな違いです。

ユーザを増やす試み

上記の状況を解決するため、私はユーザ数を増やす試みを始めました。

1人1日当たりの利用時間はおそらく今後も増えないことは明らかなので、ユーザ数を増やすことで 無料を維持しようと考えました。

ユーザの皆様に現状をご説明し、「無料を維持するために」としてサポートをお願いしました。

twlikesについてツイートしたり、 そのようなツイートをリツイートしたりして広めてほしいとお願いしました。

また、App Storeに正直なレビューを書いてもらうこと、またサポートアカウント @twlikes_appにバグ報告や機能要望を送ってくれるよう お願いしました。

すべてユーザ様頼みで恥ずかしい限りですが、正直な話、 収入の見返りなく、すでに相当な時間をアプリの開発に費やしており、広告宣伝をするお金がなかったのです。

ユーザの方々にタダ働きのようなことをさせるのは申し訳なかったので、 Twitterでtwlikesについてツイートしてくれた人だけに一部の追加機能を解放するようにしました。

そのために取り急ぎ追加できる機能として、追加カラーとダークテーマを用意しました。

試みの実施前に考えていたこと

Twitterの日本国内のユーザ数は約4,000万人と言われています。その多くがモバイルからの利用であること、 また、国内のスマートフォンのシェアでiPhoneは60%以上であることから、概ね2,000万人がiPhoneからTwitterを 使っていると予想しました。

仮に、毎日使ってくれるユーザの方々が、現在の1,000人から、10,000人になったとしたら、1ヶ月で得られる広告料は 10万円を超えるため、採算が取れるようになってくると考えました。

twlikesのアクティブユーザの割合から考えて、毎日使ってくれるユーザの方々が10,000人になるためには、 約10万人のユーザが必要だろうと思いました。

しかし、2,000万人のうち、10万人を探してくるのはそれほど難しくないと考えていました。

一度使ってもらえれば、気に入ってもらえるだろうと、 少なくとも2000万人中10万人、0.5%程度は当然twlikesを気に入ってくれるだろうと思いました。

また、過去にtwlikesについてのツイートで数千を超えるリツイートがされたことがありましたが、

twlikesのユーザの方々のご協力のもと、同じような状況を人為的に作り出して、 まだtwlikesを知らないTwitterユーザの方々に知っていただこうと考えました。

ユーザを増やす試みの結果

結論から言うと、ユーザはほとんど増えませんでした。

twlikesについてツイートしてくれた人は、毎週使ってくれるユーザのだいたい5%未満でした。 また、twlikesについてのツイートは当初は増えましたが、日が経つごとに減っていきました。

また、それらのツイートはほとんどリツイートされませんでした。

多くの方々に協力していただきながら、ユーザを増やすことができませんでした。

新規ユーザ数の推移とTwitterでのシェア数の推移(8月19日〜9月18日)

stats0

新規ユーザ数の推移とTwitterでシェアされた(twlikesを含むツイートまたはリツイートがされた)数のグラフです。

基本的に、シェアされた数がどんどん減っていっているのがわかります。

シェア数にところどころ高い値がありますが、単純にtwlikesという文字が含まれているかどうかでカウントしているため、 サポートアカウント@twlikes_appに対する質問ツイートもカウントされている というノイズがあります。少なくとも9月11日の高い値はそういうことです。すみません。

新規ユーザ数の推移(8月7日〜9月6日)

stats1

こちらはひとつめのグラフより半月前ぐらいを切り取ったグラフですが、前後でほとんど新規ユーザ数が 変わっていないことがわかると思います。

有料化の決断

ここに至り、無料の維持を断念しました。

Twitterの仕様変更への対応や、新しいiOSへの対応など、アプリを維持するだけでも労力が掛かっており、 収入にならないアプリを今後ともメンテナンスすることはできないと思いましたが、

ありがたいことに有料でも使うと言ってくれるユーザ様が何人もいてくださったので、「iOS 11への対応」と 「データのインポート/エクスポート(iPhoneの機種変更の際、twlikes内のデータを維持するために必要)」だけは 完成させ、有料で提供することを試みることにしました。

また、5%のユーザ様だけがユーザを増やす試みに協力してくださったことは、裏を返せば、 少なくとも95%のユーザの方々は有料化しても構わないと考えてくれているんだと理解しました。

有料アプリの製作

有料化する方法として、「現在のアプリにアプリ内課金を追加する方法」と「別の有料アプリとして公開する方法」の 大きく2つの方法がありました。

iOS 11のリリースが迫っていたため、twlikesを有料化するにあたり、別の有料アプリとして作ることに決めました。 これは、アプリ内課金の場合、購入画面の作成や購入情報の検証のための追加コードが必要になり、 公開が遅れることを心配したからです。

急いで開発を進めましたが、結局、iOS 11の公開(2017年9月19日)から10日近く遅れて、 2017年9月28日、有料アプリ版twlikes 4が完成しました。

App Store審査でのリジェクト

しかし、上記の有料アプリはApp Storeの審査でリジェクト(却下)されました。

App Storeのガイドラインで、同一の内容のアプリの複数のバージョンをApp Storeに公開することが 禁止されていたため、却下されました。

今回の有料アプリの公開は、無料版を廃止し、有料化するというもので、大きな枠組みではガイドラインを 逸脱していないと考えていましたが、リジェクトされました。

App Storeの審査チームと交渉して、なんとか道を切り開くこともできたかもしれませんが、 無料版と有料版をどのぐらいの期間平行して公開させておけるのか等、仮に有料アプリを公開できたとしても、 交渉すべきことが残り、すでにiOS 11が公開されており時間的猶予がなかったため、交渉を断念しました。

(無料版から有料版へのスムーズな移行のために、ユーザのほとんどがアプリをアップデートする期間、具体的には 少なくとも1、2ヶ月は無料版も平行して公開することが望ましかった。)

なお、私は今までApp Storeのレビューチームに対して交渉して成功した経験がないので、早めに諦めましたが、 もしこれを読んでくださっている人が交渉をするつもりであれば、 Under the RaderというPodcastの #99 Effective Change の回をオススメしておきます。

既存のtwlikesへのアプリ内課金の追加

よって、すでにiOS 11の公開から日数が経っているところに、また時間が掛かってしまうとは思いましたが、 一度、別アプリとして実装していたiOS 11対応のコードなどを、既存のtwlikesへと移動させ、 アプリ内課金の機能を追加することにしました。

一方で、図らずもアプリ内課金という形になったため、購読型を選択することができるようになりました。

インストール時にお金のかかる一般的な有料アプリの場合、常に新しいユーザが入ってくるような状況でなければ、 最初に一気に入金があった後、どんどん収入が減っていくため、

利用者数の少ないtwlikesのようなアプリを維持していくに当たっては、あとあとのメンテナンスのことを考えると、 非常に高額なアプリにせざるを得ないという難しい面がありました。

しかし、有料購読型アプリの場合は、毎月少しずつお金をいただくことができるため、 アプリの開発がストップしてしまう可能性を減らすことができると考えました。

価格の決定

悩みましたが、もっとも開発を持続できる可能性が高いであろう金額に決定しました。

1ヶ月120円です。

1日あたりのアクティブユーザ数(DAU)1,000人が、仮に、全員登録してくれたとして、1ヶ月12万円です。 Appleの取り分が3割ですので、私には残りの7割つまり84,000円が入ることになります。

※1,000人全員が登録してくれたとしてです。

1ヶ月120円がぎりぎりのラインだと考えています。いいねの管理のためだけに、毎月何百円も払うのは厳しいでしょうし、 かと言って、私もこれより少ない額では、アプリを維持するのも難しいと考えています。

参考までに、ブックマーク管理アプリのPocketは基本無料ですが、twlikesにもある全文検索機能等をPocketに 追加するためには毎月600円かかります。

それに比べると1/5です。ご理解いただけると嬉しいです。

ユーザの皆様へ

1ヶ月120円を高いと考える方もいるでしょう。

ですから、金額に納得してくださる方だけで、結構です。

有料購読をしてくださるユーザの皆様、 twlikes をサポートしてくださり、本当にありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。